長期インターンの掛け持ちをしている学生は少数派ですが、うまく活用している人もいます。ただし、掛け持ちにはリスクも大きいです。ここでは、掛け持ちが「あり」なケースと「なし」なケースを、具体的な基準とともに整理します。
掛け持ちの実態データ
| 掛け持ちパターン | 割合(推定) | 実現可能性 |
|---|---|---|
| 1社のみ | 85〜90% | 標準 |
| 2社掛け持ち | 8〜12% | 工夫次第で可能 |
| 3社以上 | 1〜3% | かなり厳しい |
掛け持ちのメリット
メリット1:異なるスキルが同時に身につく
A社でマーケティング、B社で営業、のように異なる職種を経験すれば、スキルの幅が広がります。「マーケティング視点で営業提案ができる」のような掛け合わせは、就活でも強いアピールポイントになります。
メリット2:企業の比較ができる
1社しか知らないと、「インターンはこういうもの」と思い込んでしまいます。2社を経験すると、「A社は裁量が大きい」「B社は教育体制が手厚い」のように比較でき、自分に合う環境がわかります。
メリット3:リスク分散になる
1社が突然インターンの受け入れを終了した場合や、自分に合わなかった場合でも、もう1社があるので無職期間が生じません。
掛け持ちのリスク
リスク1:どちらも中途半端になる
最も多い失敗パターンです。週2日×2社で働くと、どちらの業務も「浅く広く」になり、深い成果を出しにくくなります。ガクチカで「2社インターンしました」と言っても、面接官が聞きたいのは「2社やった事実」ではなく「1つのプロジェクトでどう成果を出したか」です。
リスク2:スケジュール管理が極めて難しい
授業+インターンA+インターンB+プライベート。4つの予定を同時に管理するのは、社会人でも大変です。片方のミーティングがもう片方の勤務日と重なった時、断りにくいストレスも発生します。
リスク3:企業からの信頼を失う可能性
「他社でもインターンしている」ことを隠すと、情報漏洩リスクを疑われます。正直に伝えた場合でも、「うちに本気じゃないな」と思われるリスクがあります。特に競合企業の掛け持ちはNDA(秘密保持契約)違反になる可能性があるので要注意です。
リスク4:体力的に消耗する
学業+2社のインターンで週6〜7日稼働する学生がいますが、1〜2ヶ月で体調を崩すケースが多いです。睡眠時間が6時間を切り始めたら危険信号です。
掛け持ちが「あり」なケース
- 職種が全く異なる:マーケ×エンジニアなど。スキルの幅が明確に広がる
- 週の合計稼働が20時間以内:各社週1〜2日で、授業にも余裕がある
- 片方がフルリモート:通勤時間がなく、時間の調整が柔軟
- 両社に掛け持ちの事実を伝えている:隠さずオープンにしている
- 片方が短期的な案件:3ヶ月以内に終わる予定がある
掛け持ちが「なし」なケース
- 同じ職種を2社:学びが重複し、どちらも中途半端になりやすい
- 週の合計稼働が30時間以上:学業に支障が出る
- 競合企業同士:NDA違反のリスク、情報漏洩の懸念
- 両社に掛け持ちを隠している:発覚した時に信頼を失う
- 1社目でまだ成果が出ていない:まず1社で成果を出すことに集中すべき
掛け持ちするなら守るべきルール
- 両社に正直に伝える:「別の企業でもインターンをしています」と初期段階で共有
- 競合チェックをする:NDAの内容を確認し、情報漏洩のリスクがないかを確認
- スケジュールを一元管理する:Googleカレンダーに両社の予定を入れ、ダブルブッキングを防ぐ
- 週に半日は完全オフを作る:心身のリフレッシュタイムは必須
- 成果が出ないなら1社に絞る勇気を持つ:両方こなすことが目的ではない
掛け持ちの現実:具体的なスケジュール例
実際に2社のインターンを掛け持ちする場合、1週間がどうなるかをシミュレーションしてみましょう。
パターン1:営業インターン+ライターインターン
| 曜日 | 午前 | 午後 | 夜 |
|---|---|---|---|
| 月 | 授業 | A社(営業・出社) | 自由時間 |
| 火 | 授業 | A社(営業・出社) | 自由時間 |
| 水 | 授業 | B社(ライター・リモート) | 自由時間 |
| 木 | 授業 | B社(ライター・リモート) | 自由時間 |
| 金 | 授業 | 自由時間 | 自由時間 |
合計稼働:A社 週16時間 + B社 週16時間 = 週32時間。授業と合わせると相当ハードです。
パターン2:マーケインターン+エンジニアインターン
| 曜日 | 午前 | 午後 | 夜 |
|---|---|---|---|
| 月 | A社(マーケ・リモート) | A社(マーケ・リモート) | 自由時間 |
| 火 | 授業 | 授業 | B社(エンジニア・リモート) |
| 水 | A社(マーケ・リモート) | A社(マーケ・リモート) | 自由時間 |
| 木 | 授業 | 授業 | B社(エンジニア・リモート) |
| 金 | B社(エンジニア・リモート) | B社(エンジニア・リモート) | 自由時間 |
合計稼働:A社 週16時間 + B社 週16時間。両社ともリモートなら移動時間がなく、多少は楽になります。
掛け持ちの法的注意点
2社のインターンを掛け持ちする場合、法律面で知っておくべきことがあります。
労働時間の通算ルール
労働基準法では、複数の事業所で働く場合、労働時間は通算されます。つまり、A社で5時間、B社で4時間働いた場合、合計9時間として扱われ、8時間を超えた1時間分には割増賃金が発生します。ただし、実際にこのルールが厳密に適用されるケースは少なく、多くの場合は各社が独立して管理しています。
競業避止義務
雇用契約書に「競合他社での就業を禁止する」条項がある場合、同業他社のインターンとの掛け持ちはNGです。契約書を必ず確認し、不明な場合は人事に確認しましょう。
確定申告の必要性
2社から給与をもらっている場合、年間の合計収入が103万円を超えると確定申告が必要です。扶養控除の範囲を超えると親の税金が増えるケースもあるため、年間の収入をシミュレーションしておきましょう。
掛け持ちが向いている人・向いていない人
| 向いている人 | 向いていない人 |
|---|---|
| スケジュール管理が得意 | タスクの期限を守るのが苦手 |
| 異なるスキルを並行して伸ばしたい | 1つのことに集中する方が成果が出るタイプ |
| 両社の業務内容が明確に異なる | 似たような業務内容で違いが少ない |
| リモート勤務で移動時間がない | 両社とも出社必須で移動に時間がかかる |
| 学業の負荷が軽い時期(3年後期など) | 授業・ゼミ・研究が忙しい時期 |
掛け持ちから1社に絞る判断基準
掛け持ちを始めた後、「やっぱり1社に絞りたい」と思うことは珍しくありません。以下の基準で判断しましょう。
- 成果が出ている方を残す:数字で成果が出ているインターンを続ける方が、ガクチカとしても強い
- 成長実感がある方を残す:「毎週新しいことを学べている」と感じる方を選ぶ
- 将来のキャリアに近い方を残す:就職したい業界・職種に近いインターンを優先する
- 人間関係が良い方を残す:上司やメンバーとの関係が良いチームの方が、長く続けられるし成長もしやすい
掛け持ち経験者の本音インタビュー
成功例:Eさん(慶應義塾大学・経済学部・3年)
掛け持ち内容:マーケティング(週2日・リモート)+ 営業(週2日・出社)
「まったく違う職種を同時に経験できたのが大きかったです。マーケの『データを分析して仮説を立てる』スキルが営業のトークスクリプト改善に活きたり、営業の『顧客の生の声を聞く』経験がマーケのペルソナ設計に役立ったり。就活では『異なるスキルを横断的に使える人材』として差別化できました。ただし、体力的にはかなりきつかった。週4日インターンで残りの1日が授業。休みがほぼなかったです。」
失敗例:Fさん(東京大学・文学部・2年)
掛け持ち内容:ライター(週3日・リモート)+ ライター(週2日・リモート)
「両方ともライターだったので、正直やることが被っていました。A社で書いた記事のネタをB社でも使いたくなる誘惑もあり、精神的にも疲れました。結局3ヶ月でB社を辞めて、A社に集中。1社に絞ったら記事のクオリティが上がって、チーフライターに昇格しました。同じ職種の掛け持ちはおすすめしません。」
よくある質問
掛け持ちは就活で有利になりますか?
「2社経験した」こと自体は評価対象ではありません。評価されるのは「何を成し遂げたか」です。1社で深い成果を出した人の方が、2社を浅く経験した人より面接では有利です。
掛け持ちしていることをESに書くべきですか?
ガクチカは1つに絞って深く書くのがベストです。2社の経験を両方書くと、「どっちつかず」の印象を与えるリスクがあります。
インターンとアルバイトの掛け持ちはどうですか?
これは問題ありません。インターンの稼働が安定するまでアルバイトを続ける学生は多いです。ただし、合計の稼働時間が多すぎないよう注意してください。
まとめ
掛け持ちは戦略的に行えばメリットがありますが、どちらも中途半端になるリスクもあります。自分のキャパシティを見極めて判断しましょう。
